SEやプログラマー、写真家にライター、デザイナーなどなど……フリーランスとして働いている方は多く、その職種も様々です。
一方、フリーランスという立場に常に不安としてつきまとうのが補償や福利厚生など、社会保障の無さでした。
そんな不安を解消する画期的な取り組みがフリーランス協会と言われ、今大変な注目を集めていますが、実際のところどこまでの補償なのか。費用は?年金や健康保険はどうなる?ベネフィットって何があるの??
そんな疑問を現在ライターとしてフリーランスで活動し、実際に協会へ入会した筆者が徹底解説。
サトシ
目次
フリーランス協会とは??
フリーランス協会の正式名称は「一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」と言い、文字通り、各分野のプロフェッショナル・スペシャリストとして働くフリーランス、企業に所属しながらも別のキャリアを築いているパラレルワーカーを支援する為の団体です。
2017年現在、フリーランスとして働く人は1,122万人いると言われていますが、
- 社会的信用の無さ
- 社会保障の無さ
- 企業に属さないゆえのネットワーク構築の難しさ
- スキル向上機会の少なさ
- 間接スキル(納税やプロジェクト管理)の煩雑さ
- 仕事の獲得の難しさ
- ケガや病気で収入が途絶える事への不安
これらの問題により、フリーランスとして働く事、継続していく事に大きなハードルがありました。
サトシ
そこで、これらの問題の解消を目指して発足したのがフリーランス協会です。制度としてはフリーランス保険と言える形ですが、
単なる保険と違うのは
- 協会が主体となり会員ネットワークを構築している事
- 協会を通じて政府・自治体・行政へフリーランスの待遇改善を働きかける仕組みを作っている事
- ベネフィットプラン(福利厚生)で相互扶助の仕組みを作っている事
という点です。
では、具体的にどんな恩恵があるのか、次項で詳しく見ていきます。
フリーランス協会の所得補償の内容は??
フリーランスで最も心配なのは、ケガや病気で仕事が出来なくなった際、収入が途絶えてしまう点です。
サトシ
その不安を解消するのが「所得補償」ですが、これはフリーランス協会に加入するだけでは適用されません。別途、任意で保険に加入する必要があります。
補償の内容は病気・ケガによる入院、通院、手術から死亡時の補償まで兼ね備えていますが、実際フリーランス協会の任意保険に加入した際、どの程度の補償金額となるのか。また、その場合に保険金はいくらかかるのか。シミュレートしてみました。
シミュレートの例
※年収や年齢によって保障される所得補償の金額が変わるので以下のシミュレートを参考にしてください
所得補償:420,000円/月 毎月の保険料:4666円
所得補償:280,000円/月 毎月の保険料:4,477円
所得補償:560,000円/月 毎月の保険料:7,310円
所得補償:70,000円/月 毎月の保険料:11,110円
所得補償:850,000円/月 毎月の保険料:14,440円
このようになっています。毎月の保険料は、年齢・職種・年収によって細かく変動しますが、補償金額はほぼ月収に近い金額となっており、非常に手厚い補償と言えるでしょう。
この保険は、個人で加入する事も可能なのですが、フリーランス協会に所属する事で47.5%の割引が適用される仕組みになっていますので、個人で加入した場合には上記の保険料が倍になる事に。
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フリーランス協会の年会費は1万円ですので、フリーランス協会へ所属した上で加入する方が圧倒的にお得な形となっています。
尚、注意点は以下の通り
- 仕事が出来ない就業不能期間かどうかは医師の判断による
- 免責として就業不能期間の内、7日間は所得補償の対象外
- 就業不能期間が1ヶ月未満の場合には、1ヶ月を30日として日割り計算
- 毎月の保険料は「口数」で計算。収める保険料が少なければ所得補償も減る
といった細かい制約はありますので、全てが補償されるわけではないという点は覚えておきましょう。
サトシ
所得補償制度を実際に活用した事例
■Aさん(34歳/飲食店自営/年収500万円)
所得補償制度に35口で加入し、傷害総合保険と一緒に4,590円毎月支払っていました。ある日バイクで事故を起こして骨折し、10日間入院治療をすることに。その後も医師から2週間は自宅で療養するようにと言われました。
⇒この場合…
就業不能期間は入院10日+自宅療養2週間(14日間)=24日間となり、そのうち支払対象外期間(7日)を除いた、17日分の保険金を受け取りました。
※35口の場合1か月あたりの補償額が35万円となりますが、就業不能期間が1か月に満たない場合は1か月を30日とした日割り計算になります。また傷害保険にも加入していた為、入院保険金や通院保険金も受け取ることができました。
■Bさん(45歳/プログラマー/年収650万円)
所得補償制度に46口で加入し、傷害総合保険には入らず、5,173円毎月支払っていました。
しかしその後、脳梗塞で倒れ6か月間入院することになってしまいます。退院後は、自宅でできるお仕事ということもあり、体調を見ながら復帰されました。
⇒この場合…
就業不能期間は6か月間となり、支払対象外期間(脳梗塞と診断された日~7日目)を除いた、23日分+5か月分の保険金を受け取りました。
フリーランス協会が提供するベネフィットプラン(Welbox)って本当に使えるの??
所得補償に加えて、フリーランス協会のもう一つの目玉と言えるのがベネフィットプランです。その中の一つであるWelbox
これはかなり幅広い恩恵がありますので、下記に羅列すると
- 健康診断、人間ドッグ割引
- 整体、温泉、エステ等リラクゼーションスペースの割引
- 子育て支援施設の割引
- スキルアップ支援講座の割引
- 育児、介護、税務、会計、マナー等の相談窓口利用
- 会計、経理サポートアプリの割引
- ジョブマッチングサポート(一定金額まで無償)
- キャリアカウンセリングの割引
- フリーランス協会会員専門セミナー
- 家事代行割引
と、実に多種多様な福利厚生を備えています。フリーランス協会には50社を超える協賛企業が付いており、各社が提供しているサービスを優待価格で使えるというのが大きなメリットです。
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賠償責任補償でフリーランスの仕事が増える??
フリーランス協会が提供するベネフィットプランのもう一つの柱が賠償責任保険です。これの大きな特徴は、企業側への補償にもなっている点です。具体的に見ていきましょう。
- 事故で他人にケガを負わせてしまった。
- 提供した食品で顧客が食中毒となってしまった。
- 発注元から預かった財物を破損してしまった。
これらは、フリーランサー自身の責任となる直接的な賠償で、まず、こういった基本的な賠償に対する補償がついてきます。目玉はここからで
- フリーランサーのパソコンがウィルスに感染し、企業側の情報が他に流出した
- フリーWebデザイナーが発注者へ納入したシステムに瑕疵があり、発注元のパソコンがウィルスに感染した
- フリーライターが納入した原稿が著作権侵害として発注元が訴えられた
- フリーカメラマンが納入した写真が盗作として発注元が訴えられた
- フリーランサーが突然入院し、発注元の納期が遅れ損害が発生した
と、このようにフリーランサーに発注した企業側が、何らかの不利益を受けた場合、その賠償責任を補償してくれる制度となっています。
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この制度はベネフィットプランに組み込まれているので、所得補償制度のように別途保険加入は必要なく、年会費の1万円のみで自動的に加入できる保険です。
これについては、企業側からの口コミとして好評な声があがっており「協会に入っているフリーランサーなら安心して仕事を任せられる」といった心理的な効果は期待できるでしょう。
ただ、これで仕事が増えるかというのは……フリーランサーなら当然お分かりかと思いますが、自分のスキルと人脈、行動力次第。
あくまでも、発注元を安心させるプラスアルファであり万一の備え、という意味合いに留まるのが現状ではないでしょうか。
勿論、今後フリーランス協会に入会する人が増えていけば状況が変わる可能性もありますが、現時点ではこれだけで仕事が増える、というのは考えにくいところですね。
フリーランス協会に加入すると健康保険、年金はどう変わる??
フリーランスの立場になる事をためらう理由の一つに社会保障制度の問題があります。これまでサラリーマンをしていた方なら厚生年金、社会保険といった保障がありましたが、これからフリーランスとして独立する、もしくは初めからフリーランスという方の場合、年金は国民年金(+任意で国民年金基金)、社会保険は国民健康保険(+任意で文芸美術健康保険組合等)が基本となります。
では、フリーランス協会に所属すると何が変わるのか。
サトシ
任意加入の「所得補償制度」の保険では、国民健康保険のみでは保障が無かった「ケガ・病気の保障」について、所得補償と合わせて「傷害総合保険」という形でカバーされています。
仕事が出来ないわけではないけれど、ケガや病気にかかった際の補償内容は下記の通り。
所得補償とは別途支払われるケガ・病気の保険となっており、各種共済組合などの傷害保険と同時に請求する事も可能です。そういった保険にこれまで加入していない方にとっては大きなメリットですね。
※所得補償のみを契約し、傷害総合保険には入らない、といった形は可能。傷害総合保険のみの加入は出来ません。
サトシ
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フリーランス協会の入会方法は??費用はいくら??
フリーランス協会への入会は、ウェブ上の公式ページより申し込みを行います。
メルマガ会員(こちらは無料)と一般会員の2種類があり、各種施設を割引で使用できるベネフィットプランを利用するには一般会員として登録する必要があります。
一般会員にかかる費用は、年会費として「1万円」。その他の費用はかかりません。
支払方法はクレジットカードのみとなっており、会員登録はウェブ上で行われるのですが、その際に
- GoogleアカウントかFacebookアカウント
- 本人確認ができる身分証明書の写真(Web上でアップロード)
が必要となっています。
また、「所得補償」「傷害総合保険」は、フリーランス協会と提携する保険会社との契約となり、フリーランス協会の所得補償の内容は??の通り、収入別・職種別で別途保険料が発生します。
サトシ
フリーランス協会って誰が始めたの?母体は信用できるの??
名称
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会
代表理事 平田麻莉氏
経歴
2005年に慶應義塾大学総合政策学部卒業。ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院への交換留学を経て、2011年に慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。同年、同大学大学院政策・メディア研究科博士課程在学中(出産を機に退学)に、フリーランスとして活動開始。
大学在学中よりインターンとしてPR会社ビルコムの創業期に参画。大手人材企業や組織開発コンサルティング企業などの広報経験が長く、現在は、フリーランスとして「タスカジ」や「ビザスク」の広報責任者を務めるほか、エグゼクティブ教育のためのケースメソッド教材制作(ケースライター)、ビジネスコラム執筆、翻訳などを行う。
所在地
東京都中央区八重洲2丁目8-7 福岡ビル4F
問い合わせはメールのみで受け付けている状態です。
設立が2017年1月、各種会員募集・サービスの提供を開始したのが9月という若い団体である事から信頼性を疑う声もありますが、フリーランス協会には
- 損保ジャパン日本興亜(幹事企業)
- 東京海上日動
- 三井住友海上
- あいおいニッセイ同和損保
という国内の名だたる保険企業が協賛しています。フリーランス協会の目玉とも言える「所得補償」はこの4社との共同で提供されている保険ですので、その点は全く不安に思う必要はありません。
また、新しい保険を始めるにあたって、幹事企業を立てた上で共同3社による合同の提供というのは非常に珍しい形です。通常であればライバル関係にある各社が「1社独占にならなくても社会的意義が大きい」と感じた事が背景にあり、この取り組みを応援する体制が整っているのは、十分信頼に足る状況と言えるでしょう。
サトシ
フリーランス協会の評判は?口コミをまとめました!
悪い口コミ
文芸美術国民健康保険組合を始め、出版ネッツのようなユニオンもある中、「フリーランス協会」のいう「社会保障や労働法制の改正」 は、クラウドソーシングワーカーの労働環境を悪化させる「改悪」に繋がる可能性もあるので注意が必要
(40代男性 ライター)
ベネフィットプランが正直ショボイ。割引率も低いし、完全に無料になるようなサービスもな少ない。実用性としてはイマイチ。領収証が出なかったり、会員同士のイベントがまだ少ないのも設立趣旨のイメージと違うかな。協会がまだベンチャーみたいなものだから、ここは今後に期待です。
(年齢不明男性 企業役員)
フリーランサーを使ってビジネスをしたいだけに見える。通訳案内士の規制緩和で起こった、クオリティ及び単価の低下のような事態になりかねないか。サービスの質も今のところ低い。ただ、健康保険が高いっていう悩みを解決してくれるような仕組みが出来たら注目したいかな。
(30代女性 Web系フリーランサー)
良い口コミ
政府にとっても、「働き方改革」は最大のチャレンジであり、とりわけ「兼業・副業」や「フリーランサー」、「テレワーク」のような、「時間・場所・契約にとらわれない、多様で柔軟な働き方」は、働き方改革の「鍵」となってきます。「多様で柔軟な働き方」の選択肢が広がり、働き手ひとりひとりの能力が最大限活かせるよう、官民連携してしっかりと取り組んでいきたいと思います。
(経済産業省 伊藤禎則氏)
企業側から見た時に、「賠償責任補償」で何らかのトラブルがあった時にフリーランサーを起用した企業側も補償されるのはありがたい。備えをしているという意味でも信用して仕事を任せられます
(年齢不詳男性 会社役員)
内容がとても充実していてありがたいと思います。1万円という低価格なのもフリーランスにとっては非常に助かりますね。でも、それ以上にフリーランスとしての働き方が少しづつではあるものの確立されてきているのが一番うれしい。会社員が良しとされる時代も少しづつ変わってきているんだな~と体感できる制度ですよね。
(20代男性 フリーライター)
Teitterツイッターのまとめ
こないだ会社員VSフリーランスの動画見たけど、フリーランス協会も設立されてるし、少しずつ個人、フリーランスが活躍しやすい社会に近づいていってるのかなー
— たっつん@ブロガー (@Tatsu_2015) 2017年12月14日
フリーランス協会、年会費1万円で休業時の所得補償や物品の賠償責任まで補償ついてるから入ってみた。資料も申し込み方法も明快でよいhttps://t.co/U8xGmeDEhl
— カワイナツミ (@nano_723) 2017年12月4日
フリーランス協会なんてあんねんな。保険とかキャリアアップ支援とかやってるらしい。象徴的なのは理事の半数が女性ってことかな。https://t.co/UP36hOrjnH
— kajan (@d96586737) 2017年12月2日
フリーランス協会……ブクマしといておこう。米村師兄のフリーランスに対する根性論紛いの空論も少しは改まるのかな。
— ♛蘭堂みずき♕Siegweiße (@siegweisse) 2017年11月27日
フリーランス保険、ようやく日本にもできたか、良い流れ。今年1月の、フリーランス協会の立ち上げのときの記事もブクマしてました。 / “業界初のフリーランス保険!年会費1万円で福利厚生まで実現したワケ : 小さな声を届けるウェブマガ…” https://t.co/exSgpXYWVC
— まくはり うづき (@wuzuki_) 2017年11月26日
フリーランス協会ちょっと来年検討しようかな〜
所得補償制度じっくり読んで。
今日は目が読めないって言っている。— テラピの奇妙な冒険 (@TRP_0v0) 2017年11月25日
【書きました!】補償内容の充実っぷりもそうですが、フリーランス協会の熱意とそれを全力でサポートしよう!という保険会社さんの思いが素敵です。
一人でも多くのフリーランスにとどけ〜〜〜っ業界初のフリーランス保険!年会費1万円で福利厚生まで実現したワケ
https://t.co/MWucexI2CM— きむらいり(木村衣里) (@kimurairi) 2017年11月24日
フリーランス協会設立のスピード感がすごいし、仕組みを作ってくれない行政に文句を言うのではなく自分で作れるところは作っちゃおうという行動力もすごい!でも、社会的意義に賛同してくれた保険会社さんたちもありがたい。
— ぷりっつ (@p_jvk) 2017年11月24日
フリーランス協会なるものに試しに入会。https://t.co/X2e750j139
— あべ (@abksk12) 2017年12月17日
フリーランス協会以外の支援サービスは?
サトシ