すでに開業している方なら抑えているポイントかと思いますが、これから開業する、開業したての方にとって、税金の仕組みはややこしいものです。フリーランス協会に入会すると、税金関係のセミナーも非常に盛んに行われており、それらを活用するのも一つの手ですが、まずは基礎知識として最低限何を知っておけばいいのか、解説していきます。
抑えておくべき5つの税金
- 所得税
- 住民税
- 事業税
- 消費税
- 償却資産税
フリーランスになると1~12月までの通算収益を自分で計算し、確定申告を行わなければなりません。そこで、税金を支払うための柱となるのが上記の5つの税となります。
所得税の申請・納付、税額の計算方法
所得税は、文字通り事業を通じて得た所得に課せられる税金です。申告期限は3月15日までとなっており、期限を過ぎると追徴課税が発生するので、必ず申告しましょう。
所得税の計算方法は以下の通りです。(※業種によって異なる場合もあります)
- 収入金額-必要経費-青色申告特別控除金額=所得金額
- 所得金額-所得控除金額=課税所得金額(※所得控除詳細は後述)
- 課税所得金額×所得税率=所得税額
- 所得税額-源泉徴収=還付or減額
上記の通り、収入が多くなればなるほど所得税額は大きくなりますが、最終的な所得税額は経費や控除によって差し引かれた金額に税率をかけて計算されます。
所得別の計算式は以下の通り。
最終的には、③の所得税額に表内の税率を賭けた金額から源泉徴収を引き、源泉徴収分が所得を上回る場合には、源泉徴収分は戻って(還付)きます。
Checkしておこう!所得税の控除全14種類
同じ収入でも、こちらの所得控除を知っておくと節税に繋がります。
- 基礎控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 障碍者控除
- 寡婦(寡夫)控除
- 勤労学生控除
- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業救済等掛け金控除
- 生命保険控除
- 地震保険料控除
- 寄付金控除
それぞれの詳細は「個人事業主・フリーランスの節税に抑えておきたい14種の所得控除」内を参考にされて下さい。
尚、フリーランス協会の年会費は経費、保険料は所得補償制度については医療費控除としてそれぞれ所得からマイナスする事ができます。
住民税の申請・納付と計算方法
都道府県民税と市区町村民税、これを一般的に住民税と呼び、住民税は該当年の1月1日時点の住所に基づいて課税されます。
住民税は所得に応じて計算され、フリーランスや個人事業主の場合、確定申告をしていれば特に手続きは必要ありません。税務署から各市区町村へ申告書のデータが回され、毎年6月から支払通知書が届きます。
住民税額の計算方法
住民税額は「所得割」と「均等割り」の合計にて加算されます。
(1)所得割
- 収入金額-必要経費-青色申告特別控除金額=所得金額
- 所得金額-所得控除金額=課税所得金額
- 課税所得金額×所得割税率(10%)=所得割額
(2)均等割
各市町村によって異なり、4,000円~6,000円の間が一般的です。
尚、自治体によっては、所得額に応じた免税制度などもありますので、住民税については確定申告の際に窓口へ一度相談・確認されるのをオススメします。
事業税の申請・納付、計算方法
法律で定められた70業種の個人事業主、フリーランサーは、各都道府県に事業税を納める必要があります。前年の所得に応じて税額を計算し、8月に納付通知が届きます。
事業税の計算方法
- 収入金額-必要経費-事業主控除額(290万円)=課税所得金額
- 課税所得金額×事業税率=事業税額
ポイントは青色申告控除を含め、各種控除が適用されないところ。その代わり290万円までの事業主控除がマイナスされます。
事業税率は以下の通り。
尚、事業税は経費として計上する事ができます。開業から初年度以降に事業税が発生した場合には、経費計上をお忘れなく。
消費税の申請・納付、計算方法
フリーランスや個人事業主にとって、納税に関する消費税はやや複雑な仕組みとなっています。
- 課税対象は「2年前」の売上高が1000万円を超えている事業主が対象
- 消費税の申告・計算は当年(2015年に売上1000万超えの場合2017年分の消費税を申告
個人で物品の売買を生業としている方ならば1,000万円の売上(利益では無く売上)はすぐに到達してしまうでしょうが、納税義務が発生するラインと計算が必要な年度の違いについは覚えておきましょう。
また、消費税は所得税や住民税と違い、税務署からの通知は一切届きません。ですが、申告漏れがあれば当然追徴課税となってしまうので、忘れずに申告をしましょう。申告場所は管轄の税務署で、専用の申告書を提出し、納付書を添えて現金もしくは口座振替、電子納税にて納めます。確定申告とは別という事も覚えておきましょう。
消費税の計算方法
消費税は「本則課税」と「簡易課税」のどちらかで計算します。本則課税は、納税すべき消費税額を「売上にかかった消費税-仕入にかかった消費税」という計算式で求めますが、取引が多くなればなるほど煩雑な作業となる為、課税売上高が5,000万円以下の事業主に限り簡易課税という計算方法が認められています。その場合、課税期間までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出しなければなりません。
(1)簡易課税制度とは
2年前の課税売上高が5,000万円以下で、届出書を事前に提出している事業者は、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができる制度です。
いわゆるみなし仕入れ率を採用する事で、仕入れにかかった消費税額を簡易計算できますが、その割合は以下の通りに決まっています。
みなし仕入率
- 第一種事業(卸売業)…… 90%
- 第二種事業(小売業)…… 80%
- 第三種事業(製造業等) ……70%
- 第四種事業(その他の事業)…… 60%
- 第五種事業(サービス業等) ……50%
- 第六種事業(不動産業) ……40%
簡易課税制度では以下のように消費税の納付額を算出します。
①課税売上にかかる消費税-(課税売上にかかる消費税×みなし仕入率)=消費税納付額
しかし、この計算方法では当然実態とは合いません。仕入れにかかる消費税が上記計算方法よりも多い場合には、通常通り本則課税にて計算を行った方が良いのですが、それには会計ソフトが必須です。
その際に活用できるのがフリーランス協会のベネフィットプラン。会計ソフトの「freee」や「エリービズ」など、個人事業主やフリーランス向けの会計・経理・確定申告用ソフトをお得に使える福利厚生がついていますので是非利用を検討してみては如何でしょうか。
償却資産税の申請・納付、計算方法
あまり耳慣れない言葉かと思いますが、償却資産税とは固定資産税の一種です。
主に事業の為に用いる建築物(駐車場や看板など)や、機械、器具、備品などが対象で、自家用車と兼用の車や土地・家屋は含まれません。
償却資産の申告は毎年1月末です。
確定申告や事業税の申告よりもかなり早いので気を付けましょう。申告場所は各市区町村の役所。申告内容を元に4月上旬より納税通知書が届きます。
また、償却資産税は事業税と同様経費として計上できるので、覚えておきましょう。
償却資産税の計算方法
これは少し複雑ですが、「課税標準金額が150万円以下は申告の必要がありません。」
課税標準金額とは、先ほど述べた課税対象物の取得金額に減価償却を踏まえて出した評価額に1.4%を賭けた金額です。
個人事業主やフリーランサーで、総額1億円を超える取得物を事業に活用しているという方はそうそういないと思いますが、もし心当たりのある方は税理士さんとしっかり相談される事をオススメします。
尚、こういった面倒な確定申告に必要な会計ソフトの割引や、各種セミナーを行っているのがフリーランス協会です。年会費1万円で会計ソフトの割引だけでなく福利厚生サービスや個人賠償責任保険などがついてくるフリーランス協会の詳細についてはこちらをご覧ください。